
狭小地に家を建てる
「この土地、本当に家が建つのだろうか?」

狭小地をご検討される方の多くが、最初にそんな不安を抱かれます。今回着工したお住まいも、間口わずか4.5mという限られた敷地条件。さらに今回は、1階を事務所、2階を住居とする店舗兼住宅という計画です。
一般的に見れば“難しい土地”。
しかし私たちは、その制限こそが住まいづくりの可能性を広げると考えています。
注文住宅の魅力は、「決まった形に暮らしを合わせる」のではなく、「暮らしに合わせて空間を創る」ことができる点。今回も、お施主様と何度も打ち合わせを重ねながら、「どうすれば限られた空間を最大限活かせるか」を一緒に考え、プランを練り上げていきました。
まず大切なのは、「敷地条件を正確に読み解くこと」。
狭小地では、隣家との距離が近くなるケースも多く、採光・通風・視線の抜け方などを慎重に検討する必要があります。また、道路幅や隣地状況によっては、工事車両の進入や資材搬入が難しい場合もあり、施工方法にも工夫が求められます。
こちらは土地に建っていた古屋の解体風景。

解体する手順を事前にしっかりと計画し、お隣の建物に細心の注意を払いながらの作業となりました。
さらに、限られた面積の中で階段・収納・水回りをどう配置するかによって、暮らしやすさは大きく変わります。図面上では成立していても、実際に生活した際に「狭く感じる家」になってしまっては意味がありません。
だからこそ、狭小住宅では“空間設計力”が非常に重要になります。
・視線の抜けをつくる
・吹抜けを活かす
・窓の位置を工夫する
・高さ方向を有効活用する
・造作収納で無駄を減らす
こうした細かな積み重ねが、実際の広がり感に大きく影響してきます。
一方で、狭小地には大きな魅力もあります。
まず一つは、「立地条件の良さ」。駅近や市街地など、利便性の高い場所には、比較的小さな土地が多く存在します。今回も山口市では利便性の高い道場門前。「本当はこの場所に建物を建てたい!」そんな希望を叶えやすいのが狭小地でもあります。
さらに、狭小住宅は無駄が少なく、家事動線がコンパクトになるという利点もあります。掃除や移動の負担が減り、「ちょうどいい距離感」で暮らせる住まいになることも少なくありません。
家づくりにおいて、条件が完璧な土地ばかりではありません。
広さ、形、高低差、周辺環境――。どの土地にも、必ず何かしらの個性があります。
ですが私たちは、その“制限”をネガティブに捉えるのではなく、「どう活かせるか」を考えることが大切だと思っています。
狭小地は、一見すると不利な条件に見えるかもしれません。しかし、知恵と工夫、そして丁寧な設計によって、その土地にしかできない魅力的な住まいへと変えることができます。
今回の建物も、少しずつその輪郭が見え始めてきました。


限られた敷地の中に、お施主様の想いと暮らしやすさを詰め込んだ一棟。
完成が今から楽しみです。
「狭いから無理」ではなく、「狭いからこそ面白い」。
そんな住まいづくりの可能性を、これからも一つひとつ形にしていきたいと思います。








