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KIZUKIブログ

ファミレス化する時代に、住まいづくりはどうあるべきか

ファミレス化する時代に、住まいづくりはどうあるべきか

最近、ファミリーレストランや居酒屋に行くと、注文はタブレット、配膳はロボット。そんな光景をよく見かけるようになりました。

人手不足への対策や人件費の削減、注文ミスの抑制などのことを考えると、とても合理的な仕組みです。利用する側にとっても、サッと食べてサッと帰るような場面では、便利さを感じることも多いでしょう。

ただ一方で、どこか味気なさを感じるのも事実。

店員さんとの何気ない会話
料理人のこだわりが伝わる一皿
店の空気や温度感

そうしたものがあるからこそ、食事は単なる栄養補給ではなく、「体験」になるのかもしれません。

 

実は、この流れは住宅業界にも広がっています。

家づくりもどんどんシステム化されています。
家の大半がプレカットされた材料で組み立てる住宅。マニュアル通りに施工さえすれば建てられる仕組み。現場管理を遠隔化し、人を置かずにコストを下げる方法。

そして、省力化の極みとも言えるのが、売ることに特化した販売マニュアルです。

営業トークや契約までの流れが細かくマニュアル化され、誰が対応しても一定の成果が出る仕組みが整えられています。企業としては合理的な方法であることは間違いありません。

しかしそれを見ていると、家というものが「暮らしの場」というよりも、どこか“商品”として扱われているようにも感じてしまうことがあります。

とはいえ、決して効率化そのものが悪いわけではありません。

目的を達成するうえで悪影響のない効率化は、むしろ積極的に取り入れるべきでしょう。無駄を減らし、合理的に進められるところは合理的に進める。

ただ一方で、はしょってはいけない部分があるのも事実です。

住まいづくりの場において、すべてを省力化・オートメーション化していくことが本当に最適解なのか。

そのことについては、一度立ち止まって考えてみる必要があるのではないでしょうか。

 

例えば、家づくりの現場には、人が積み重ねてきた時間があります。

職人は長い下積みの修行を経て技術を身につけます。先輩の仕事を見て学び、経験を積み重ねながら腕を磨き、やがて現場でその技術を発揮します。

そして、その仕事ぶりを見た施主が「この仕事には価値がある」と感じる。そこに職人の存在意義があります。

また、設計を本気で志した人は建築士となり、現場管理を本気で志した人は施工管理技士となります。

資格がすべてではありません。しかし少なくとも、それはその道を本気で志した証であることは間違いありません。

 

家づくりの現場では、現場監督と職人が日々向き合いながら仕事をしています。

図面通りに進めるだけではなく、現場の状況を見ながら、どうすればもっと良くなるかを考える。監督が職人の技術を理解し、その力を引き出し、職人もまた「いい家をつくりたい」という思いで応えていく。

そこには、単なる作業ではなく、人と人の関係があります。

 

もう一つ考えておきたいのは、こうしたオートメーション化や省力化が比較的成立しやすいのは、一からつくる新築住宅の場合だということです。

図面通りに材料を準備し、決められた工程で組み上げていく新築住宅は、仕組み化や効率化と相性が良い面があります。

しかし、すでに建っている住宅を扱うリノベーションやリフォームでは事情が異なります。

建物の状態は一棟一棟違います。図面が残っていないこともあります。解体して初めて分かる状況も少なくありません。

現場で建物のコンディションを見極めながら、臨機応変に判断し、対応していく。そうした仕事は、完全なマニュアル化やオートメーション化では対応しきれないのが実態です。

 

家づくりの現場では、人の経験や判断、技術が今も重要な役割を担っています。

効率化できるところは効率化する。しかし、時間をかけるべきところには、しっかり手間暇をかける。そのバランスが大切なのかもしれません。

 

さて、あなたは住まいづくりに何を求めますか。

日常使いに便利なファミレスのような住まいでしょうか。それとも、特別な時間を過ごすレストランのような住まいでしょうか。

もちろん、どちらが正解というわけではありません。

ただ一つ言えるのは、家は単なる商品ではなく、家族の時間や思い出を受けとめていく場所だということです。言い換えれば、家は、家族の時間を受けとめる「幸せの器」ということです。

 

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