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KIZUKIブログ

工事前の住宅診断が工事品質を変える

工事前の住宅診断が工事品質を変える

山口市矢原にて中古住宅のリノベーションを前提に実施したホームインスペクションを実施しました。

建物の北東方向に不同沈下が見られ、家全体にわずかな傾きが生じていることが判明。見た目では分かりにくいレベルであっても、構造的には無視できない重要なサインです。

もしこの問題が工事着手後に発覚していた場合、工程の組み直し、補強方法の再検討、仕上げ計画の変更など、大きな方向修正が必要となり、結果として工期・コスト・品質すべてに影響が及ぶ可能性がありました。

リフォーム・リノベーションは既存の建物に手を入れる工事です。新築と違い「完成した状態」から始まるのではなく、「過去の履歴を持つ建物」と向き合うところからスタートします。

経年劣化、過去の増改築、地盤条件、施工精度のばらつきなど、見えない要素が積み重なって現在の状態が形成されています。だからこそ、表面的な美観だけでなく、構造・地盤・傾き・含水率・劣化状況といった“家の健康状態”を事前に把握することが極めて重要となります。

これは人の医療にも似ています。外科手術を行う前には必ず行う精密検査。CTやMRI、血液検査などを通じて身体の状態を正確に把握し、リスクを想定しながら最適な手術計画を立てます。検査なしに手術を行うことがあり得ないのと同様に、大きな時間と資金を要するリノベーション工事においても、事前診断なしで工事に入ることは本来望ましい姿ではありません。

ホームインスペクションの価値は「問題を見つけること」だけではありません。
・補強が必要な箇所を事前に特定できる
・不要な工事を避けられる
・見積もり精度が上がる
・工程のブレを最小限に抑えられる
・施主と施工者が同じ前提条件で計画を共有できる

つまり、後戻りのないリノベ計画をつくるための「共通言語」になるのです。

特に中古住宅のリノベーションでは、工事が進んでから予期せぬ問題が見つかるケースが少なくありません。床を解体して初めて分かる腐朽、壁の内部の雨漏り跡、基礎のひび割れや不同沈下など、いずれも工程とコストに直結します。これらを事前に把握できるかどうかで、プロジェクト全体の質は大きく変わります。

また、インスペクションは「安心材料」としての役割も持ちます。お施主様にとっては購入・改修の判断材料となり、施工者にとっては計画の裏付けとなる。双方にとってリスクを減らし、納得感のある家づくりにつながります。

私たちは、工事前のホームインスペクションを単なる調査ではなく、「設計の前提をつくる最も重要なプロセス」と捉えています。リノベーションは完成形だけで評価されるものではありません。どれだけ丁寧に現状を読み取り、無理のない計画を積み上げたか。そのプロセスこそが、住まいの寿命と快適性を左右します。

大切な住まいに手を入れるということは、これからの暮らしをつくるということ。

だからこそ、工事前のインスペクションは“あれば安心”ではなく、“必ず行うべき診断”です。

家の未来を守るための最初の一歩として、私たちはこの工程を何より重視しています。

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