読み込み中

KIZUKIブログ

歴史ある梁とともに描く、新しい暮らしのカタチ

歴史ある梁とともに描く、新しい暮らしのカタチ

先週より津和野町でリノベーション工事がいよいよスタートしました!

まずは最初の工程である「解体工事」から。長年住まいを支えてきた壁や床を撤去していくと、これまで隠れていた構造体が次第に姿を現します。今回は特に、迫力ある小屋組み(こやぐみ)が現れ、その存在感に改めて圧倒されました。

小屋組みとは、屋根を支えるための梁や桁など、木材を組み合わせた骨組みのことを指します。

古民家や伝統的な木造住宅では、大きな丸太梁や太い柱を用い、木の持つ強靭さを最大限に活かして造られているのが特徴です。

現代の住宅に比べるとやや無骨な印象を受けますが、その一本一本が長い年月を経てなお住まいを支えてきた歴史を物語っています。

今回の解体でも、梁に刻まれた大工の鑿(のみ)跡や、木材そのものが持つ歪みや反りを上手く活かした組み方が確認でき、伝統構法の奥深さを実感することができました。

10mにもなる梁が1本の木材として家を支えているのも現代の木造住宅では見ることはありません。

リノベーション工事において、この「骨組みが見える瞬間」は非常に重要です。なぜなら、建物の本当の状態が目で確認できる唯一の機会だからです。

たとえば、柱や梁にシロアリの被害がないか、木材の劣化がどの程度進んでいるか、接合部が健全に機能しているかといった点を細かくチェック。図面や外観からでは分からない部分が多いため、この段階での判断が今後の工事方針を大きく左右することも多々あります。

また、古い建物を現代の暮らしに合わせて改修する際には、性能面の見直しも欠かせません。耐震性や断熱性といった住宅性能は、解体後にどの程度手を加えるかを検討することになります。

今回の現場でも、長年積み重ねられた埃を払いながら、慎重に壁や天井を解体していきました。

作業が進むごとに空間の広がりが生まれ、以前よりもずっと開放的な印象が出てきます。既存の空間を一度“リセット”し、そこに新たな暮らしのかたちを重ねていく――これがリノベーションの醍醐味だと感じます。

迫力ある小屋組みは、ただの構造体ではなく、住まいの「歴史」そのもの。先人たちの知恵や技術が詰まった木組みを前にすると、私たちは単に建物を改修するのではなく、歴史を受け継ぎながら未来へつなげる役割を担っているのだと改めて気が引き締まります。

新しい材料や最新の施工方法を取り入れることも大切ですが、それ以上に「残せるものを残し、活かすこと」がこの工事の大きなテーマ。

ここからはいよいよ、構造補強や断熱改修、間取りの再構成といった本格的な工事へと進んでいきます。

現代の暮らしに求められる快適さと、古民家ならではの魅力をどう融合させるか。TEAM KIZUKIplanningで力を合わせ、新しい住まいの姿を描いていきます。

解体を経て露わになった小屋組みは、まさに住まいの原点。

そこに込められた時間と物語を大切にしながら、これからどんな空間に生まれ変わるのか。

私たち自身もワクワクしながら、工事を進めてまいります。

TOP