台風災害から住まいと家族を守るために
近年、日本各地で大雨や台風、地震などの自然災害が頻発しています。
「まさか自分の地域では…」と思っていても、予期せぬタイミングで被害はやってきます。私たち建築会社は日頃から住宅を建て、メンテナンスを行う中で、災害後の修理や復旧現場にも多く立ち会ってきました。その経験から言えることは、被害を軽減するには、日頃の備えが何より大切ということです。
今回は、家の外と中でできる基本的な備えに加え、建築会社ならではの視点からのアドバイスをお伝えします。ぜひ、今日・明日からすぐにできることとして取り入れてください。
【家の外での3つの備え】
① 窓や雨戸はしっかりと締め、カギをかける
強風時に飛来物が窓ガラスを直撃すると、ガラスが割れ、雨風が室内に吹き込み、被害は一気に拡大します。
雨戸やシャッターがある場合は必ず閉め、施錠まで行いましょう。
最近の住宅では雨戸がないケースも増えていますが、その場合は養生テープや飛散防止フィルムを窓に貼るだけでも、破片の飛び散りを抑える効果があります。
[👉ワンポイントアドバイス]
・窓のパッキン(ゴム部分)が劣化していないか、定期的に確認しましょう。劣化していると隙間から雨が吹き込みます。
・サッシの戸車やレールに砂やゴミが溜まっていると閉まりが悪くなります。掃除機やブラシで清掃しておくとスムーズに施錠できます。
② ベランダの排水口、家の周りの側溝や排水溝を掃除する
大雨時、排水口や側溝が落ち葉や泥で詰まると、雨水があふれて室内への浸水につながります。
特にベランダは構造的に水が溜まりやすく、排水口が詰まると短時間で冠水します。
[👉ワンポイントアドバイス]
・排水口のヘアキャッチャーやゴミ受けは、定期的に外して清掃しましょう。
・側溝の蓋は簡単に持ち上げられる場合があります。見える範囲で構いませんので泥や落ち葉を取り除いておきましょう。
・雨どいの詰まりも要注意です。高所作業になる場合は無理をせず、業者に依頼してください。
③ 家の周りに風で飛ばされそうなものがあれば収納する
強風時には、鉢植えや物干し竿、ベランダの椅子などが凶器になります。
過去の災害では、飛ばされた物が窓ガラスや外壁にぶつかり、損傷を広げたケースも多く見られます。
[👉ワンポイントアドバイス]
・カーポートや物置などの固定金具が緩んでいないか、台風シーズン前に確認しましょう。
・外構やフェンスも、基礎部分にぐらつきがないか確認すると安心です。
【家の中での3つの備え】
① 非常用品をまとめておく
懐中電灯、予備の電池、非常食、飲料水、モバイルバッテリーなどはひとまとめにして、誰でもすぐ持ち出せる場所に置いておきましょう。最近はLEDランタンや手回し発電機付きラジオなど、多機能な防災用品も増えています。
[👉ワンポイントアドバイス]
・非常用品は、家族全員が場所を知っていることが大切です。
・長期保存可能な食品や水も、賞味期限を定期的にチェックし、入れ替えましょう。
② 浴槽やバケツなどに水をためておく
断水すると、トイレや洗い物ができなくなります。飲料水とは別に、生活用水を確保しておくと安心です。
浴槽いっぱいの水があれば、トイレの排水や簡単な洗濯にも利用できます。
[👉ワンポイントアドバイス]
・災害時に給湯器が故障すると、お湯が出なくなることがあります。ガス給湯器やエコキュートの取扱説明書を事前に確認しておきましょう。
③ 避難場所や避難経路を確認しておく
自宅から避難所までのルートを家族で共有し、災害種別(洪水・土砂災害・地震)に応じた避難先を確認しておきましょう。自治体のハザードマップは必ず一度目を通しておくことをおすすめします。
[👉ワンポイントアドバイス]
・夜間の停電を想定し、懐中電灯やヘッドライトを持参できるよう準備しておくと安全です。
・持病がある場合は、薬やお薬手帳を防災バッグに入れておきましょう。
【建築屋が教えるプラスの備え】
1. 停電時のための予備電源
近年はポータブル電源や家庭用蓄電池の需要が高まっています。
特に在宅医療機器を使用している方や、小さなお子さん、高齢者のいるご家庭では、短時間でも電源が確保できることが命を守ることにつながります。
2. 屋根・外壁・基礎の点検
瓦や金属屋根の浮き、外壁のひび割れ、基礎部分の劣化は、災害時の被害を拡大させる原因になります。
台風シーズン前に点検を行い、早めに補修しておくことで被害を最小限に抑えられます。
3. 雨水の逆流防止
大雨時、下水が逆流して室内に浸水する被害もあります。
排水マスの清掃や、必要に応じて逆流防止弁の設置を検討しましょう。
災害時には、命を守る行動が最優先です。家や家具、車などは修理・買い替えができますが、命は一度失ったら戻りません。「これくらい大丈夫だろう」と思わず、危険を感じたら早めに避難することが大切です。
そして、日頃の点検・備えこそが、被害を最小限にする最大の鍵です。今日・明日からでもできることはたくさんあります。ぜひご家族で話し合い、行動に移してみてください。