緑と石がつくる自然美
私たちの事務所に、あたらしいアプローチ空間が誕生しました。
もともとこの場所には桧がありましたが、樹の老齢化に加え、ここ最近の激しい寒暖差により元気を失い枯れてしまいました。。
そこでアプローチの変更を計画。シンボルツリーを中心に、石や植栽をバランスよく配置することで、訪れる人の心にすっと馴染む、やさしい庭へと生まれ変わりました。
シンボルツリーには「シマトネリコ」と「アオダモ」を選びました。
シマトネリコは風に揺れる葉音が心地よく、アオダモは新緑や紅葉が特に美しい樹種。それぞれが持つ個性が、訪れるたびに違った表情で迎えてくれるのが魅力です。
また、樹木の足元には自然石を配置。この石たちも全てに意味がありレイアウトされています。そこに、苔や低木、小さな切り株も添えることで、まるで山の中の一角を切り取ったような、自然で心が落ち着く景色が広がります。
切り株は枯れてしまった桧。これからは訪れる方が腰を掛けるイスとして活躍してくれます♪
白い砂利の敷き詰められた空間には、雑草の抑制という実用的な面もありますが、それ以上に、光を反射して空間を明るく保ってくれるという視覚的な効果もあります。明るく開放的な雰囲気の中に、濃い緑が映えるこのコントラストは、事務所という空間にほんの少し特別感を添えそうです。
そして何より、この空間の一番の役割は「迎える」ということ。
お客様が初めて足を踏み入れる場所であり、社員が日々行き交う場所でもあります。だからこそ、機能性や見た目だけでなく、
「なんだかホッとする」「気持ちが整う」そんな感覚を大切にしながらつくっていきました。
外構や庭というのは、建物と違って季節ごとに風景が変化するのが醍醐味。芽吹き、青々と茂り、紅葉し、葉を落とし、また新たな春を迎える。シンボルツリーの存在が、その季節のうつろいを目で感じさせてくれることで、自然と共にある暮らしや働き方を実感できる、そんな場所になればと願っています。
最近では「外構=機能性重視」と思われがちですが、今回のように、少しだけ心に余白をつくるようなデザインを加えることで、
そこに流れる時間や空気が、やさしく整っていくのを感じることができます。
私たちは建物づくりだけでなく、その周囲の空間も含めて、“暮らしそのもの”を大切にしたい。
これからも、緑や自然素材を取り入れた設計を通して、そこにしかない心地よさをつくっていけたらと思います。
事務所へお越しの際は、ぜひこのアプローチの小さな風景にもご注目ください。風の音、葉の揺れ、石の重なり、足元の植物たちが、きっとささやかに、でも確かに、あなたを迎えてくれるはずです。