実地研修で学ぶ実践的なホームインスペクション
3月18日、日本ホームインスペクターズ協会中国四国エリア部会のメンバーでホームインスペクション(住宅診断)の実地研修を行いました。
実地研修で集まったのは、現在、KIZUKIplanningがリノベを行っている中古住宅。
今回の研修は、築古の木造住宅をリノベーション工事中のタイミングで訪問し、実際の構造躯体を目にしながら、インスペクションの方法や診断の着眼点を学ぶというものです。
ホームインスペクションとは、住宅の現況を第三者的な立場で診断することを指します。
特に中古住宅の購入やリフォーム・リノベーションを検討する際には、その家の「今の状態」を正確に把握することが何より大切です。
壁や天井に隠れてしまう前の構造部分を見ることができる工事中のタイミングは、インスペクターにとっても非常に貴重な学びの場となります。
今回の実地研修のテーマは、リノベーション工事中の構造躯体を見ながらインスペクションの方法を現地で学ぶこと。また、それに基づくリノベーション計画の共有とディスカッションでした。
インスペクター一人ひとりが住宅の状態を把握し、課題やリスクを洗い出した上で、「どのような改修計画が適切か?」という視点でリノベーションの方向性を考えました。その後、参加者全員で意見を出し合い、活発なディスカッションが行われました。
プロ同士が現場で率直に意見交換することで、診断の視点やリノベーションの多様な選択肢がより深く学べます。
ホームインスペクションの大きな意義は、「今あるものをしっかり見極めること」で、将来の暮らしの安心と快適さにつなげることです。
リフォームやリノベーションは「見た目をきれいにする」だけではなく、構造や設備の安全性、耐久性、住み心地といった本質的な価値を高める行為。だからこそ、事前にホームインスペクションを行うことで、必要な修繕や補強ポイントを明確にし、「やるべきこと」と「やらなくてもいいこと」の線引きができるようになります。
これは無駄な費用を抑えることにもつながりますし、後々のトラブルを未然に防ぐためにも非常に有効です。
私たちインスペクターは、「見えないところにこそ価値がある」と考えています。
天井裏の断熱材の有無や状態、床下の湿気、基礎の劣化具合、柱や梁の歪みやシロアリ被害の有無など、普段の生活では気づきにくい部分こそ、長く安心して住むためのカギになります。
今回のような実地研修を通じて、インスペクター一人ひとりの診断スキルを磨き、「診る力」を高めることが、最終的にはお客様の暮らしの安心につながっていくと私たちは考えています。
リノベーションをご検討中の方にこそ、まずはホームインスペクションをおすすめしたい理由が、ここにあります。
住まいの状態を正しく知り、そのうえでどのように手を加えるべきかを考える――。
そのプロセスを踏むことで、「見た目のきれいさ」だけではない、「住まいの本当の価値」を引き出すことができるのです。
私たちはこれからも学びを深めながら、住まいのプロフェッショナルとして、一棟一棟に誠実に向き合ってまいります。