屋根の谷板金に穴が開く理由
ホームインスペクションや現場調査の場面で天井や壁に雨漏り跡を確認した場合、おおよそ屋根の不具合であることが想像できます。
そして瓦屋根の場合、谷板金に問題があることが多いです。
谷板金とは、屋根の谷の部分(屋根の方向が変わる部分など)に取り付けられている板金で、雨水や雪解け水を排水する役割を担っています。谷樋とも呼ばれることもあります。
壁にひどいカビが発生していたこちらのお宅。
外部に回り屋根をチェックしたところ、この雨漏り箇所の上部には谷板金がありました。
では、なぜ谷板金に穴が開くのか。
谷板金では ガルバリウム鋼板や銅板といった金属が使用されることが一般的です。
ガルバリウム鋼板の場合、経年劣化で塗装が剥げ、むき出しになった金属部分に雨水が集中することで徐々にサビが進行。更に腐食が進むことで穴が開くと考えられます。
一方で、銅板の場合は、酸性雨によって陶器瓦の表面に使われてる釉薬を溶かし、銅板と化学反応を起して銅自体を溶かしているという説が有力です。
こちらは実際に銅板に穴が開いた谷板金の様子。
こちらは銅板が使用されていました。雨が降ると小さな穴から雨水が屋根の下に侵入してしまいます。
ちなみに豆知識ですが、色が緑色掛かって変色したようにみえる部分があります。これを緑青(ろくしょう)といいます。銅は緑色の錆(これを緑青といいます)が出来て銅自体の腐食を守る役割があります。
できれば設計段階でシンプルな屋根形状とし、なるべく谷板金のない家を造ることが将来にわたってリスクを軽減することにつながります。
もしも雨漏りを発見したら外から屋根を眺めてみてください。谷板金が近辺にあったらそこが原因である可能性が高いと考えられます。